ごあいさつ

文化財として残されることになった
当家住宅の公開を通して、
江戸時代から伝わる
日本の文化を
まずは自分自身が学び、
皆様と共有することが
できたらと思います。
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令和四年 十月
第十六代当主
井上 典彦 (いのうえ ふみひこ)

井上家の歴史。

井上家の先祖は十六世紀の終わりに倉敷に土着し、
鶴形山の麓に居を構え、阿知潟と呼ばれた
周辺の干潟の開墾に従事したといいます。
当家は古くから村役人となる資格を有した
「古禄 (ころく)」と呼ばれる十三軒のうちの一軒で、
江戸時代は年寄り役や百姓代など、
他家と交代で務めていました。
特に六世安兵衛(諱 永俊)は家を繁盛させ、
享保六年(一七二一)、三七歳の時に住宅を大規模に改修し、
今残されている住宅の基礎を築きました。

三百年が経過した、
当家住宅。

三百年が経過した当家住宅は、
倉敷市倉敷川畔伝統的建造物群保存地区の中で
最も古い町屋と言われ、
実際防火扉のついた倉敷窓など古い形式を残していて、
平成十四年(二〇〇二)に主屋、三階蔵、井戸蔵、土塀、
家相図、敷地が国指定重要文化財に指定されました。
しかし老朽化は激しく、早急な修理が必要な状態でした。
平成二四年(二〇一二)、国、岡山県、倉敷市の補助のもと
大規模な保存修理工事を施工して頂くことになり、
令和四年(二〇二二)九月に足掛け十年に及ぶ工事が完了しました。
蘇った家の中に入ってみれば、
職人さんたちの精魂込めた技術や、
先人たちの工夫を感じることができます。

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